日本TFT協会/TFTセンタージャパン共催

2016

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2016年7月23-24日(土日) 会場:東京未来大学

講師陣

09.06.13 浅井咲子様 五十嵐先生 田崎美弥子先生 100226_875H4913
浅井咲子
(セラピスト)
五十嵐郁代
(精神保健福祉士)
田崎美弥子
(大学教授)
森川綾女
(心理士)

日程

 時間  内容  講師
7/23(土) 10:00〜17:00 ソマティックエクスペリエンシング ワークショップ 浅井咲子
7/24(日)10:20〜11:50 ブレインジムとTFTの心理臨床現場での併用 五十嵐郁代
7/24(日) 13:00〜14:30 ニューロフィードバックの臨床基礎 田崎美弥子
7/24 (日)14:45〜16:30 TFT・エネルギー心理学・バイオフィードバック(HRV)の新時代の潮流 森川綾女

参加費

(会員)1日 9,000円/2日間 17,000円

(非会員)1日 10,000円/2日間 19,000円

お申し込み

日本TFT協会会員用 お申し込みフォーム(定員のため、締め切りました)

非会員用 お申し込みフォーム(定員のため、締め切りました)

会場

東京未来大学・大講義室

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東京未来大学大学HPアクセス:http://www.tokyomirai.ac.jp/info/access.html

抄録

「ソマティックエクスペリエンシング ワークショップ」

浅井咲子(アートオブセラピー/セラピスト), M.A.
7/23(土) 10:00〜17:00

 

ソマティック・エクスペリエンシング(SE™)は、 トラウマおよび慢性的ストレスを癒し回復力を高める心と身体へのアプローチです。

開発者であるピーター・リヴァイン博士は野生動物が日常的に捕食動物からの攻撃にさらされているのに、人間のようにトラウマを受けて苦しむ事がないことに着目しました。そして原因に関わらず、トラウマによって人間が苦しむ症状(不眠、フラッシュバック、パニック障害など)はほぼ同じであることからトラウマは出来事ではなく、出来事に対して神経系の反応である、という結論を導き出しました。

野生動物は危機に瀕すると、闘争‐逃避反応を起こし、この2つの反応が不可能になると硬直(凍りつき反応)します。いったん危険が過ぎ去ると、硬直状態を解き、身震いして過剰なエネルギーを振り落として回復していきます。このプロセスを自然に行うことで、野生動物は脅威や危険を「トラウマ」として抱えずにすむことが出来るのです。

しかし人間は、発達した大脳新皮質が意味づけや理由づけを行なうため、本来動物が持っている自然で本能的な「エネルギーの解放」の反応が起こりにくいのです。したがって、過剰に喚起されたエネルギーは行き場を失い、神経系の中で解放されずに蓄積されたままになります。この過剰なエネルギーが、トラウマに起因する様々な症状を作り出していると考えました。

SEの背景には、S.W. Porgesのポリヴェーガル(理論多重迷走神経理論)があります。ポリヴェーガル理論とは、自律神経系が交感神経系と副交感神経系で活性化とリラックスを司っているという従来の見解から、哺乳類の副交感神経系には異なる2種類が存在し、有機体を温存するための機能と社会的につながる機能があるということを提唱しました。

実際のセッションでは、神経系に残っている解放されるはずのエネルギーを動かすのを手伝い、S.W. Porgesの多重迷走神経理論で提唱されている「社会的つながり」を使いながら安定化を図っていきます。そして神経系が自己調整力を取り戻し、レジリエンスを高め「今、ここ」にいる力をつけていきます。

本ワークショップでは、理論を説明しながら簡単なエクササイズもしていきます。そのなかで是非、この技法のエッセンスを体験していただけたらと思います。


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「ブレインジムとTFTの心理臨床現場での併用」

五十嵐郁代(ヒッポメンタルクリニック/精神保健福祉士・心理士), P.S.W.
7/24(日) 10:20〜11:50

 

ポール&ゲール・デニソンによって開発されたブレインジムは、東洋医学やアプライド・キネシオロジーに基づくタッチ・フォー・ヘルスと、発達学・教育学・オプトメトリー(視機能調節学)などとを合わせ更に発展した教育分野での技法である。基盤の一つにキネシオロジ-の方法を採用しているためTFTと縁があり、TFTセラピストには親しみやすく思えるに違いない。

「内言から外言への過程」の研究で博士号を取得しているP・デニソンは、学習障害などの子どもの読字障碍の改善に取り組む過程で、学習の発達に伴う目と身体の動きの重要性に気づき、基本のワークとなるブレインジム101を作成した。101では、呼吸と身体の動きと目の動きを統合させたような動きを含む24個のアクティビティがある。ブレインジムは、そのようなアクティビティを中心とし、アートを含んだ様々な側面から末梢の刺激を中枢に伝えて神経ネットワークの再構築をすることで、自分の進みたい未来に向かう選択と決断をし易くさせ、個々人の人生課題をより楽に乗り越えさせ易くするというワークである。ダイナミック・ブレインという考え方を採用し、身体の軸を3次元から捉えてメタファーとして脳の在り様と呼応させ、ダイナミック・ブレインへ向かうバランスを整えようとする。教育分野の技法であるが心理臨床に応用が可能である。

ブレインジムの最も重要な特徴の一つに個々人の「気づき」の力の向上がある。ブレインジムの「気づき」とは、「今ここ」で五感や固有受容覚、運動覚などの自分が自分の身体をどのように使っているか自覚することである。エネルギー心理学という視点で考えると、自分の中に流れるエネルギーをどのように感じて、考えて、動いているかを自覚することとも言える。この自身の気づきの体験を重ねることで、他者への「観察力」も向上する。これによりTFTセラピストの臨床現場でのTFT施療能力を上げてくれる。また、ブレインジムはTFTを補う役も担える。TFTでは、イメージする方法を除けば、浅部エネルギーシステム刺激によって速やかに情報を脳へ伝え全体への変化を期待すると考えられる。しかし、筋膜が非常に硬くなっている場合、タッピングによる刺激が情報として脳に伝わり難い。ブレインジムは、血流やリンパシステムや固有受容覚など深部のエネルギーシステムからも脳への情報伝達に働きかけ、同時に筋膜も緩ませる。そうなると、TFTによる浅部経絡の刺激からの情報伝達も有効になり速やかな変化がみられるようになる。逆にTFTがブレインジムを補う役も担う。ブレインジムにはバランスを整えるための準備としてPACEというワークがある。臨床現場でのより複雑で重篤な事例ではPACEやブレインジムの動きだけで準備を整えるのに非常に時間が掛ることがあり、その場合、TFTで速やかにパータベーションを処理すると短時間でPACEを終了しバランスを取り易くなる。TFTにもイメージを使って将来像により近づけさせるワークがあり、ブレインジムにも過去のもやもやした気持ちを吹っ飛ばすというワークがあるが、二つを比較すると、過去に対しては主にTFT、未来志向にブレインジムという使い方によって二つは相互に楽に活用できる。更に、どちらもセルフケアとして使えるので、クライエント本人ばかりか、家庭でも学校でも使えて、関係性の改善にも一役買える。このようにTFTセラピストがブレインジムについて学び、二つを併用して使うとTFTの応用範囲がかなり広がり強力な道具になる。

当日は、TFTとブレインジムを相互に活用した事例を紹介して、ブレインジムについてもう少し具体的に知って頂き、ブレインジムを知らない人のためにPACEなどブレインジムの動きを実習してもらいたいと考えている。


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「ニューロフィードバックの臨床基礎」

田崎美弥子(東邦大学医学部心理学教室教授・一般社団法人臨床ニューロフィードバック代表理事), Ph.D.
7/24(日) 13:00〜14:30

 

1.ニューロフィードバック療法(Neurofeedback Therapy)とは、

ニューロフィードバックとは、コンピュータ画像のキャラクターの動きを、クライアントがみているだけで、望ましい脳波が出ると、聴覚と視覚情報によりフィードバックされることで脳の学習を促進するトレーニングである。

最初に、心理学者のバリー・スターマン博士が1972年に、偶然、脳の運動感覚野をオペラント条件付けのトレーニングをした猫を使って、NASAでロケット噴射によって生じる痙攣発作の研究をしたところ、条件づけをしていない猫と比較して、条件付けのトレーニング猫は同じ条件下で、てんかん発作が抑制できることが発見されたことから、始まった。それがヒトのてんかん発作の抑制に適用されるようになり、欧米ではすでに30年間さまざまな分野で適用され、現在、PTSD(Post Traumatic Stress Disorder)や自律神経失調症、あるいは薬物投与を回避したい発達障害の児童やADHD (Attention Deficit Hyperactive Disorder)の問題行動、脳損傷の機能改善だけではなく、プロのサッカーチームや演奏家がパフォーマンス向上に適用している。

2.脳波について

ニューロフィードバック療法は、心拍変動や体温といった自律神経のセルフコントロールをするバイオフィードバックの脳波版と捉えることができ、Biofeedback EEG (Electroencephalogram) と記載されることもある。脳波には、0~3Hzのデルタ波、4~7Hzのシータ波、8~12Hzのアルファ波、13~22Hzのベータ波がある。脳波は大脳皮質から発生した電位を同期的に加算したものであり、一般に健常者では、安静・閉眼・覚醒状態では後頭部を中心にアルファ波(8~12Hz)が多く出現する。開眼時に集中している場合、ベータ波(13Hz以上)が前頭部や中心部に出現する。アルファ波を基準としてそれよりも周波数の遅い波形を徐波、周波数の早い波形を速波というが、睡眠時には徐波が増え、その周波数の出現程度によって睡眠の深さが推測される。脳波のもう一つの指標である振幅は個人差があるものの、正常人は20μV – 70μVであある。

3.臨床的応用

ニューロフィードバック療法のプロトコルも、過去30年間に流行りすたりがあったが、現在では、最初にクライアントのQuantitative EEG(QEEG)をとり、そのデータを標準的なデータと比較して、異常な部位を特定化したうえで決定することが一般的になっている。つまり健常者と比較して、賦活させたい部位には聴覚や視覚で報酬(Reward)を与え、鎮静させたい部位には抑制(inhibit)するようその部位に対する周波数を決定していく。トレーニング開始前には、認知機能検査を実施する。さまざまな検査方法があるがTOVA (Test of Variables of Attention)やIVA (Integrated Visual and Auditory Continuous Performance Test) がよく使われる。ニューロフィードバック療法は、非侵襲的であり、昨今の技術革新に伴い、必要なハードウエアが小型化し、PCと専用のアンプだけであること、操作が容易であることが特徴である。副作用については、単に自分の脳波に対してフィードバックをするだけなので、ほとんど報告されていない。

本発表では、基礎理論と臨床例を紹介し、実際のトレーニングを体験していただきたい。


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「TFT・エネルギー心理学・心拍変動(バイオフィードバック)の新しい潮流」

森川綾女(一般社団法人日本TFT協会理事長・TFTセンタージャパン/心理士), Ph.D.
7/24(日) 14:45〜16:30

 

米国のエネルギー心理学の流れは、1970年代終わりのキャラハンの思考場という概念から始まり、感情や思考を含む、人のエネルギーに働きかける新しい心理学の分野として発展し、米国心理学会にて資格更新の単位として認められた。そして、TFTは米国政府機関である「物質乱用とメンタルヘルスサービス組織SAMHSA(Substance Abuse and Mental Health Service Administration)」にエビデンスが認められた、個人のレジリエンス・自己概念、自律、トラウマ・ストレス関連の障害と症状、抑うつとうつ症状、一般的な機能と健康、恐怖症、パニック、全般性不安障害とその症状、特定不能およびその他のメンタルヘルスの障害と症状ラウマやうつ、パニックに効果のあるプログラムとして登録された。

 エネルギー心理学は、言語と身体的手順を組み合わせて効果をあげる臨床的およびセルフケアの方法である。暴露や認知の再構成のような確立された臨床手法を用いる一方、西洋以外の概念や手法のヒーリングシステムを組み合わせている(Feinstein, 2012)。この分野では、52以上のピアレビュー論文が発表されており、ほとんどはTFT(Thought Field Therapy)とTFTから派生したEFT(Emotional Freedom Technique)である。

 昨今の研究で、特定のツボへの刺激は、ストレスホルモンであるコルチゾールを減少させ、ストレスを緩和させる遺伝子を活性化し、異常な脳波を正常化するばかりでなく、セロトニン、脳内モルヒネや喜びに関連する他の神経伝達物質の生成を増やすという様々な生理学的作用が解明されてきた(Church & Feintein, 出版予定)。

 キャラハンは以前よりTFTの治療効果をHRV(心拍変動)の指標によって示してきた。HRVはプラセボに反応しない客観的な健康の指標であり、病気のリスクを示す。また、心理的なレジリエンスの指標でもあり、高いHRVは高機能な作業パフォーマンスと相関している。

 「呼吸を合わせる」「息が合う」「息を潜める」など、日本文化において「息」や「呼吸」と言う言葉はとても馴染み深いが、「深呼吸」や「腹式呼吸」などと言った「呼吸法」も日常的に使われている。そしてヨガやスポーツなど様々な所で「呼吸法」が重視されているのは、「呼吸法」が自律神経の調整に有効だからである。セラピーの場面でも「呼吸」は治療者とクライエントの関係を上手く形成し維持する上でとても重要な要素なのである。

 TFTはセルフケアで自律トレーニングできることが大きな特徴であるが、HRVもアセスメントだけではなく、「呼吸法」を用いてセルフトレーニングをすれば改善できることがわかった。

 その呼吸法をハートマス研究所がプログラム化している。シンプルな呼吸法で自律神経のバランスを整え、レジリエンスを高めるものである。自律神経にとって良い呼吸がどうかは、HRVのモニターを見ながら、クライエントが自分で調節していくが、iPhoneのような簡易なアプリでトレーニングできるようになっている。

 本発表では、エネルギー心理学の最近の動向とHRVのアセスメントとトレーニングについてご紹介したい。

 また、TFTの応用として、問題へのチューニングを工夫することで、見落とされがちなより深いストレスやトラウマケアになることをご紹介し、アルゴリズムやTFT診断の実践を体験していただきたい。

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